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『86 エイティシックス』特別偵察任務とは?共和国の非道な命令について解説

行くよ

アニメ『86 エイティシックス』の第1期の後半で、シンたちスピアヘッド戦隊に課せられた「特別偵察任務」

エイティシックスたちの残酷すぎる末路を象徴するこの任務を聞いて、衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。

アニメではどうしても説明が簡略化された部分もあったため、原作からの情報も含めて今一度この「特別偵察任務」について解説します。

『86 エイティシックス』特別偵察任務とは?

任期まで生き延びたプロセッサーに課せられる「絶死の行軍任務」

「特別偵察任務」などと立派な名前がついているものの、その実態は単なる死刑宣告に過ぎません。

ただ「レギオン支配域の奥深くを目指して、できるだけ進め。死ぬまで進め。帰ってくるな。戻ってきたら〇す」というだけ。

仮にも偵察任務なのに、偵察結果の報告をさせる気なんて微塵もないという、建前すら取り繕う気のない残酷すぎる命令です。

当然ながら、そんな行軍をしたらいずれレギオンに見つかり、多勢に無勢で瞬殺されるのは間違いありません。まさに絶死の行軍任務ですね。

一応は長期任務という名目上、スペアパーツや燃料、食糧などの物資をたくさん持たせてもらえるのがせめてもの救いでしょうか。それも普通はほとんど消費することなく早々に戦死するんでしょうが。

 

「5年の従軍を終えたら市民権を与えられる」は共和国の嘘だった

 一応、エイティシックスたちには「5年の軍役を果たしたら市民権を与えられ、再び共和国85区の中に戻れる」という説明がされています。

アニメ1期の序盤で、シンが軍役5年目と聞いたレーナは「もうすぐ除隊ですね。市民権を回復したら何がしたいですか?」と無邪気に聞いていましたね。

ですが、市民権の話は全て噓でした。

軍役の終了が迫ったエイティシックスはスピアヘッド戦隊のような激戦区の部隊に配属され、過酷な戦闘にさらされて死んでいき、それでもしぶとく生き残ったものは「特別偵察任務」で確実に消す。それが共和国のやり方でした。

どこまでも汚いサンマグノリア共和国ですが、この「特別偵察任務」はそれを象徴するものと言えるでしょう。

 

ちなみに、アニメではあまり触れられませんでしたが、開戦初期は「大人のエイティシックスが従軍すれば、一人につき子ども一人の市民権を回復してやる」と説明されていました。

なので、レイとシンの両親は、息子二人の市民権を回復するために夫婦揃って従軍し、戦死しました。「子どもの市民権回復」は当然のように嘘だったんですね。

レイは「(父さんだけでなく)母さんが死んだのは(二人目の子どもである)お前のせいだ」とシンに八つ当たりをぶつけた側面もあったわけです。

 

原作を読むと分かる「特別偵察任務」のより悲惨な現実

特別偵察任務に出た時点ですべての記録が抹消

エイティシックスたちにも、一応は人事記録と呼べるようなデータがあります。

第10話のファイドの回想の中で、スピアヘッド戦隊に配属されたシンたちが、認識番号の書かれたボードを持って一人ずつ写真を撮られているシーンがありましたね。

ですが、それは戦死と同時に抹消されます。物理的に破棄されて、そのエイティシックスが生きていた記録は何ひとつなくなります。

第4話でシンが言ったように「エイティシックスには墓がない(墓を作ることを許されていない)」ので、エイティシックスたちは戦死と同時にガチでこの世に生きた痕跡が何ひとつなくなるんです

特別偵察任務もそれは同じで、この任務が始動するとともにそのエイティシックスの記録は抹消されます。

さらに、その時点で友軍認識のデータも切られます。もし引き返したりして、それがレーダーに探知されたら「敵機」として認識されるんでしょうね。

特別偵察任務に就いた時点で、すでに死んだものとして扱われています。共和国の本音がよく分かりますね。

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普通はここまで生き残るのは1人か2人程度

スピアヘッド戦隊では特別偵察任務までにシン、ライデン、クレナ、セオ、アンジュの5人が生き残りましたが、これは異例中の異例です。

原作小説では「普通は1人か2人生き残ればいい方」と語られていました。任期の途中で部隊が全滅するのが当たり前で、特別偵察任務が発令されること自体が珍しいみたいです。

5人も生き残ったのは、シンの異能があったからこそでしょうね。

本当はここにハルトも加わるはずでしたが、彼は特別偵察任務の直前に戦死……ファイドの回想で「あの5人と行くのなら楽しそうだよな」とファイドに語るハルトと、その直後の血だまりの上にハルトの影が浮いているカットが忘れられません。

 

1か月も生き延びることができたのはシンの異能のおかげ

特別偵察任務に進めば、何日も生き残れないだろう……ということも原作では語られています。

1機か2機だけで、掩護も何もないレギオン支配域を進むんだから当たり前ですね。

ですが、シンたちは1か月も生き延びながら、誰もいない旧ギアーデ帝国内をまるで旅行でもするかのように進んでいきました。

物資の残量が尽きるのを気にしないといけないほど、異例の長期行軍です。

これもやっぱり、シンの異能によってレギオンを避けて進めたからです。普通のエイティシックスはあんな「人生最後の自由な旅路」を味わう暇もなく死んでいくんでしょうね

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『86 エイティシックス』特別偵察任務についてまとめ

あまりにも酷すぎる「特別偵察任務」の実態。筆者も自分で書いててげんなりしてしまいました……

アニメだけでなく、原作でより深く書かれた特別偵察任務の内容を知ると、エイティシックスたちの置かれた境遇や、彼らに待ち受ける運命がもっと残酷に思えます。

他にも小説ならではの魅力もあるので、ぜひ原作にも触れてみてください。

 

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