ミリタリーSFライトノベルの新たな傑作として各方面で話題沸騰中の『86 エイティシックス』。小説もアニメも大人気ですね。
そんな『86 エイティシックス』の不動のメインヒロインと言えば……そう、ファイドです。
オレンジのボディでぴょこぴょこと歩いて「ピッ」と鳴き、いつもシンに付き従う全高2.5mの小動物系ヒロイン、ファイド。
そんなファイドの魅力やシンとの関係、なぜあれほど知能が高いのかの秘密などを解説します。
※原作のネタバレを全開で含むので、アニメ派の方はご注意ください。
『86 エイティシックス』ファイドとは?
無人支援機「スカベンジャー」のうちの一機
ファイドはエイティシックスたちの戦闘を支援する無人機「スカベンジャー」のうちの一機です。戦場でジャガーノートに弾薬やエネルギーパックを補給することを務めとしています。
スカベンジャーたちは本当は「M101 バーレット」という名前がありますが、戦闘終了後には破壊されたジャガーノートやM101 バーレットの残骸からまだ使えるパーツを剥いで回収していることから「スカベンジャー(死体漁り)」の通称で呼ばれています。
スカベンジャーは量産されて戦場に大量配備されているので、当然ながらファイド以外のスカベンジャーもたくさんいて、格納庫の背景などでぴょこぴょこ歩いているのが映ったりしています。
サンマグノリア共和国の技術力が足りないため、スカベンジャーに搭載されているAIは単純なもので、戦闘能力も皆無。本当にただ補給と回収作業を行うためだけの無人機です。本来は。
いつもシンに付き従い、シンを支え続けた忠実な従者
他のスカベンジャーは上記の通り単純作業しかこなせないポンコツちゃんですが、ファイドは別です。
シンがまだ若年兵の頃に戦場で彼と出会い、連れて帰ってもらったファイドは、それ以来まるで忠犬のようにシンに懐き、付き従っています。
シンの言うことをよく理解していて、戦場ではパーツの残骸のみならず戦死した戦隊員の機体片までわざわざ回収してシンに手渡すという、本来ならあり得ない行動も。
エイティシックスたちに話しかけられたら感情があるようなそぶりさえ見せて反応するなど、ただのスカベンジャーとは思えない有能さを発揮しています。
そして原作1巻の終盤(アニメ10話のラスト~11話の冒頭)では、レギオンの攻撃からシンを庇って被弾(こんな行動も普通のスカベンジャーの知能では本来不可能です)。シンから仲間たちの機体片と名前を預けられて眠るという名誉ある任務を与えられました。
10話Cパートのファイド視点での回想は、涙なしでは見られませんでしたね。あんなん号泣必至やん。
原作2巻(アニメ2期)で復活?
壮絶な最期を遂げて「そんな……ここでお別れかよファイド……」と多くの人を泣かせたファイドですが、原作2巻(アニメ2期)で生き返ります。というか、死んでいませんでした。
シンたちがレギオン支配域の先、ギアーデ連邦という国家に保護されてそこで再び戦うことを決めた後、連邦は着実に前線を広げてレギオンを後退させ、かつてシンたちがファイドを眠らせた場所まで国土を取り戻します。
そこでファイドの機体が調べられ、コアユニットが無事だったことが分かり……ギアーデ連邦軍はファイドを再現した機体にデータを映し、かつての記憶を保ったファイドを復活させてくれました。
なので、シンたちは新しい体になったファイドと再会。また共に戦うことになります。
再会時、まるで久々に飼い主に会った犬のような勢いでシンのもとに走ってくるファイドがかわいいです。
こうした理由で、2巻以降もファイドはしっかりメインヒロインとして活躍します。安心してください。
『86 エイティシックス』ファイドはどうして知能が高い?
シンたちは「多くの戦闘を潜り抜けてきたため」と推測
AIが未熟で、本来は単純な思考回路しか持たないはずのスカベンジャー。なぜその中でファイドだけがこれほど知能が高いのでしょうか。
シンたちの間では、ファイドが今の86区でも少なくなった初期型の機体であることから「多くの戦場を生き抜いて学習データを重ねたことで、他のスカベンジャーと比べて圧倒的に高い思考力を得たのだろう」と考えられています。
ファイドがシンの言葉をよく理解しているのも、何年もシンに付き従っているから。それがシンたちの推測です。
それにしてもシンとファイドは意思疎通がスムーズすぎるだろうと他の皆は思っているようですが……
実はシンの「幼なじみ」だったファイド
実は、ファイドの異常な知能の高さとシンへの懐き方には、ある秘密があります。
ファイドはもともと、人工知能研究の科学者だったシンの父が、実験の一環として作った犬型ロボットでした。
シンの赤ん坊の頃からの脳波記録をもとにAIが構築され、幼いシンと一緒に遊びながら育った犬用ロボット。シンはこのロボットに「ファイド」という名前をつけていました。
しかしある日、レギオンとの戦争が始まってエイティシックスの強制収容が決まり、シンたち家族は連行されてファイドは独り、取り残されます。
それでもシンたちにまた会いたいファイドは……なんと勝手にネットにアクセスして軍のシステムに侵入し、スカベンジャーの一体に自分の全データを転送して戦場までシンたちを探しに行きます。
来る日も来る日も戦場をさ迷い歩き、さすがにシンたちは死んでしまったのだろうとファイドも理解した頃、戦場である少年兵と出会いました。あまりにも雰囲気が変わっていたのでファイドは気づきませんが、それはシンでした。
彼に連れて行かれ、また「ファイド」という名前をつけられたファイドは、シンがかつての「ご主人様」だと知らないまま、成長したシンを新たな主人と定めて付き従うことを決めます。
どうでしょうか。つまりファイドは「幼なじみヒロイン」だったわけです。主人公にいつもくっ付いてくる幼なじみ属性の小動物系ヒロイン、おまけに全高2.5m。レーナにもクレナにもアンジュにも負けない魅力と強さがありますね。
また、アニメ10話のファイドの回想の中に「幼いシンとアネット、そしてシンの兄のレイ」という本来あり得ない光景が記録されていたのも、こういう真相がありました。
このファイドの物語は、原作10巻の中の一エピソードとして詳しく描かれています。
『86 エイティシックス』ファイドはこれからもヒロイン
いつでもかわいい皆のヒロインことファイド。その背景や心の内を知れば知るほど、より感情移入してしまいますね。もはやファイドはただの人工知能なんかじゃありません。
レーナとメインヒロインの座を争えるのは、間違いなくファイドだけでしょう。これからもずっと元気なまま、シンの周りでぴょこぴょこ歩いていてほしいです。
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